メインコンテンツへスキップ
  1. Entry/

SRE NEXT 2026 に行ってきた

7月10,11日に行われた SRE NEXT 2026 に参加したのでその記録。

SRE NEXT に参加するのは去年に引き続き2回目。 去年は特に参加記事は書いていなかったが、書いたほうがよかろうということで。

セッション #

いろいろ聞いたが、印象に残ったセッションを3つ。

なぜ私たちのSREプラクティスはなかなか機能しないのか 〜システムより先に組織を見る〜 #

https://sre-next.dev/2026/schedule/#slot070

SRE 的なプラクティス(SLI/SLO の運用、ポストモーテムの作成、など)を導入したものの、結局 SREs しかやっていなかったりしませんか、という話。 聞きかじったプラクティスをそのまま導入してもうまくいかないのは、そのプラクティスが組織の文化・価値観にマッチしていないからだ、という分析だった。

たしかに、価値観が異なっていればそれをベースとしているプラクティスへの理解も変わってくる。 価値観に合っているプラクティスを導入する、合っていないのであればまずは価値観を変える、ひいては価値観を定義する文化を整える必要がある、と。 人に何か新しいことをやってもらうためには、まずは共通の価値観を持つ必要がある、というのは SRE に限らず大事な心構えだろう。

そもそもそのプラクティスを導入する必要があるかどうかの判断基準として、そのプラクティスが解決しようとしているチーム間の対立や行動の先送り、つまり「暗黙の裁量」が機能しているかどうかが挙げられていた。 プラクティスを小さく始めるには、「暗黙の裁量」が機能しない最小単位、かつ行動を約束させられる権限が及ぶ境界を探し、その範囲で価値観をそろえよう、という話もわかりやすかった。

CSに"SLO"は要らない、経営層に"99.9%“は伝わらない - SREを全社に"翻訳"する3原則 #

https://sre-next.dev/2026/schedule/#slot111

立場によって知りたいことは異なるので、SRE 的な用語をそのまま使うのではなく、それぞれの立場に合わせて必要な言葉に翻訳してあげる必要がある、という話。 障害が発生したときに、SRE や SWE はシステムそのものを表すメトリクスに着目するが、CS が知りたいのはユーザーにどのような影響があるのかだし、Biz が知りたいのは売り上げに関わりがある情報で、それぞれ異なっている。

「SRE に聞かなければわからない」状態なのであればまだ改善できるというサイン、というのは分かりやすい指標だと思った。 各立場の人用のステータスページを用意するというプラクティスはすぐに取り込めそう(使って欲しい人たちの価値観に沿っているので!)

全員が同じことを知って、理解する必要はない、というのもよい知見。 組織で運用しているんだから、役割分担していきましょう。

あと、結局は「その人が何を知りたいのか」を理解するためのコミュニケーションが大事なんだなと。

ソニー銀行におけるビジネスアジリティ向上のためのクラウドシフト戦略 #

https://sre-next.dev/2026/schedule/#slot114

ソニー銀行のシステムを、10年かけてクラウドシフトした、という話。 正直金融のシステムはさっぱりだが、TL を眺めていた感じ「勘定系1もクラウドに移行したのすげぇ」みたいな雰囲気だったので、想像している以上にすごそうだ、というイメージ。

10年かけて移行する計画にゴーを出す決断もすごいし、コード変換などは行わずフルスクラッチでクラウドネイティブなアプリケーションを作り直したのもすごいし、可用性のために AWS に働きかけて大阪リージョンを開設してもらったというのもすごい。 正直参考にはならないが、いい話が聞けてよかった。

持ち帰れそうなプラクティスとしては、マイクロサービスの最適化の話があった。 すべてを細かく細分化するのではなく、業務を効率良く行うための分割単位を見極めようという話。 トーク中には出てこなかったが、コンウェイの法則に則りましょう、という話でもあるんだろうか?

参考 #

mini LT #

当日参加形式の mini LT があったので、せっかくなので LT してきた。 過去の話の再利用でもよいということだったので、 kamakura.go #8 で話したコーディングルールを AI の力を使って更新し続ける話 を少しアップデートしたものを話してきた。

感想 #

最近仕事では全然 SRE できていないが、こういう場に来るとやはりやる気が出る。

普段はスポンサーブースはほとんど見ないのだが(スポンサーの皆様ごめんなさい 🙏 )、紹介されているサービスそのものより、サービスを支えるシステムのつらいところとか、エンジニア視点でこういうことをやりたいとか、そういう話を聞けばいいんだなということにようやく気付いたので今後も気が向いたら回ってみよう。

mini LT に飛び込みできたのはよかったが、聞いている人がほとんどいなかったのが残念。 もうちょっと宣伝をがんばればよかった。

来年の開催も決まっているらしいので、都合をつけて参加をしようと思います。 ありがとうございました。


  1. ちなみに、「勘定系」という言葉もこの時初めて知った。Wikipedia に 勘定系システム というページがあったので眺めてみたが、「メインフレーム自体の性能の向上や、オープン系システムでは太刀打ちできない高い信頼性のため、多くの金融機関は勘定系システムにメインフレームを採用している。」のような記述があり、ここからもチャレンジング過ぎることをやっていることが推し量れる。 ↩︎